志望高校の選び方

 こんにちは。円アカです。

 夏休みに様々な高校の説明会なども行われ、これから学力テストABCが各中学校で実施されていきます。中学校3年生の皆さんは、自分の志望校について固めつつある時期かと思います。なので、今回は、志望高校の選び方についてお話をしようと思います。

 

 最初に考えてほしいのが、その高校に行くための「志望動機」です。これは高校受験だけでなく、これから様々な場面で聞かれることですよね。自分は「行きたいのか」、それとも「行ってみたいのか」のどちらであるかを自分と向き合ってよく考えてみましょう。そのときによく考えてほしいのが、「メリット」と「デメリット」です。特に自分にとっての「デメリット」のほうをよく考えてみましょう。

 

 大学生で一例を言うと、大学を卒業し、様々な職業に就職しますが、よくあるのが「理想だけを描いて就職をする」と「すぐに辞めてしまう人が多い」ということです。就職をする前には考えてもみなかった「現実(デメリット)」が見えてくるからだと思いますが、これは高校を選ぶときも同じことが言えます。本人たちの言葉で言うと「自分が思っていたのと違った」というような言葉になると思いますが、そのときはもう高校に関してはやめることはできませんよね。

 

 このようなことが起こらないために「デメリット」を真剣に考えてほしいと思います。その「デメリット」を出し尽くしてもその高校で学校生活を送りたいと思えるならば、「行きたい」という気持ちだと思いますし、ここで「違和感を少しでも持つ」ならば「行きたい」ではなく「行ってみたい」であったということだと思いますので、その高校を受験しようと思うのは避けたほうが良いと言えるのではないかと思います。

 

 では、具体的にどのように高校について調べたらよいでしょう。「学校説明会に行く」、「学校祭に行く」などはたいていの人は行うと思います。ですが、ここで1つ気を付けなければならないのは、「学校説明会」、「学校祭」はその学校の「楽しい側面」つまり「メリット」しか見えてこないということです。

 説明会は、その学校に来てもらうためにやるので、「楽しいこと、凄そうなこと」を前面に押し出すのは「当たり前」ですよね。ただ、そこだけを「真に受ける」と、大抵は「入学後」に「思っていたのとは違った」となります。そして「進学した本人が大変になる」のは容易に想像がつくのではないかと思います。

 

 先ほどの大学生の就職活動を例に挙げると、例えば、会社説明会に言って、「休日出勤はありません」と会社説明会の担当者に言われれば、休日にその会社の前に実際に行ってみるそうです。それは電気を付いているかどうかを確認するためで、電気がついていれば休日出勤をしているということになりますよね。また「残業がありません」と言われれば、就業時間が終わった頃にその会社の前に行って電気が消えているかどうかを確認するそうです。

 

 これらの行為が良いことかどうかはわかりません。でも1つだけ良いなと思えることがあります。それは「会社説明会」の「楽しそうな説明」だけを「真に受ける」のではなくて、「メリット」だけではなく「デメリット」を「自分の目」できちんと把握しようとしているところです。

 これは高校受験でも同じことが言えますよね。「実際に行っている人に感想を聞く」というのも1つかもしれませんが、ただこれも1つ気を付けなければならないことがあります。「感じ方」は「人それぞれ違う」ということです。

 例えば、「勉強はそんなに大変じゃないよ」という感想を聞いたとしましょう。この言葉からは、様々想像できますよね。「学年順位が旧帝国大学などを狙える位置にいて勉強に付いていけている」場合もありますし、「成績は伴っていないが学校の進路担当の先生の「上を目指そう」という言葉を真に受けて、後からどうにかなると錯覚している」場合もあります。このように様々考えられます。

 やはり「自分の目」で確認をすることが重要なのではないかと思います。

 

 では、まずは何から手を付けると良いでしょうか。まず「高校のホームページの大学の合格実績」を見てください。ここからどのようなレベルの勉強をする高校なのかよくわかりますし、どのような生徒がいるかもわかります。

 例えば、札幌西高で有名なのは、「卒業生の3分の1は浪人する」ということです。ここからわかることは、「自分の目標だけ高くて努力が足りない人が多い」ということですよね。つまり、ここから考えなければならないのは、大学受験(自分の目標)に向けて努力をあまりしない人が学年の3分の1は少なくてもいて、その環境の中で流されずに自分はサボらずにやっていけるのかということです。

 

 また、札幌南高の数学は、「北嶺中・高の×1.5倍のスピード」で授業をやっていきますが、ついていけるのかということです。確かに札幌南高は今の数学のやり方にしてから、「京都大学・大阪大学」が特に合格者が増えました。大学入試本番まで、数Ⅲのある理系の生徒にとっては「1年間の受験勉強期間」はかなり大きいですよね。

 このように「本来は札幌南高より上の高校が札幌市にあれば行ける偏差値を持っている中学生」にとっては「天国」だと思います。

 でも、逆の悪い言い方をすれば、「道コン・定期テスト」のみを当たり前の基準で勉強をしていた中学生にとっては「地獄」にもなりうる環境であるということです。道コンで偏差値が60台後半でも、駿台中学生テストをやると偏差値が40台の人もいます。塾講師を約20年間やっていますが、このような人で札幌公立TOP5校の数学・英語についていけている人を残念ながら見たことがありません。

 

 だから、自分が札幌公立TOP5校でやっていけるかどうかは、「駿台中学生テスト」を1度受験してみて、このレベルの勉強をやっていけそうかどうか、「偏差値60を切らず」にやっていけるかどうかを自分自身に問いかけてみてください。「駿台中学生テスト」が「札幌公立TOP5校で勉強するレベルに1番近い」です。中学生時点でやろうとしないことは、高校生になっても結局はやろうとしないし、色々な言い訳をして結局は逃げて、その状況を改善するための努力もしようとする人は非常に少ないです。

 

 また、経済的な部分が許すならば、私立高校に行って、推薦をもらうという方法もあります。一例として、「道内私立高校→MARCHクラスの大学の推薦合格」、「札幌公立TOP5校→道内私立大学を一般入試で合格」では、世の中の評価はどちらが上になるでしょうか。
 もちろん「前者」ですよね。MARCHクラスの大学は、札幌西・東でいけば最低でも50番位以内/320名にいなければ現役での合格は遠く及ばない大学です。希望すれば誰でも入れてくれるわけではないのはわかりますよね。

 そして、札幌公立TOP5校、特に札幌南、札幌北、札幌西、札幌東は、合格者の上から下までで、道コンでは偏差値5くらいの差しか見えなくても、駿台中学生テストみたいな「本当の偏差値(実力)」が分かるテストをすると偏差値20くらい開くような高校では、「後から巻き返すのは相当厳しい戦いになる」ということは誰でも容易に想像がつくと思います。

 ならば、「自分の向き・不向き」を考えて、「駿台中学生テスト=札幌公立TOP5校の勉強」は「厳しい」と感じたならば、思い切って方向性を変えて考えるのも一つですよね。標準的な学校の勉強を真面目に頑張って、進路の選択を広げるのも一つの方法です。これは楽をしているとか、していないとかではなく、「自分の向き・不向き」ときちんと向き合ったり、各高校からどのくらいの大学の合格者が出ているかなどの正しい情報をきちんと調べれば答えは自然と出てくるはずです。

 

「プロになっただけでは意味がない。プロで名前を残さないといけない。何歳になってももっとうまくなりたい。」これは大久保嘉人さん(元プロサッカー選手。元サッカー日本代表)がある番組で言っていた言葉です。高校には入るだけでは意味はありません。だって、学生生活を高卒で終わろうと思っていないですよね。高校という環境を活かして次の進路をどうするのか、そこに「意味」が生まれてきます。

 それは、一般入試かもしれませんし、推薦入試かもしれません。そして、「あの勉強は難しいから嫌だ、やりたくない」と思っているのに、「難しい勉強をする高校に行こうとする」のはなぜでしょうか。札幌南高の高1の数学の宿題を見せてもらいましたが、普通に大学の入試問題のプリントが出されています。中学生の時に駿台中学生テストを受験するのは嫌だと逃げるのに、高校に行った瞬間に、今の逃げる気持ちから、「よし!やろう!」となりますか?ならないですよね。違和感しかありません。このような現実と真摯に向き合って自分の進路を決めてほしいと思います。

 

 高校選びは習い事ではありません。自分の描いていた理想と違うことが起きても好きな時にやめられませんよね。入学してしまったら勉強の面でついていけなくても、3年間は通ってとりあえずは卒業をしなければなりません。その3年間を意味のあるものにするか、しないかは、小学生、中学生のこのときに「メリット」、「デメリット」の両方を真剣に考えて、「自分と真剣に向き合えるかどうか」にかかっています。「行きたい高校」なのか、「行ってみたい高校」なのか、よく考えて決めましょう!